2025年6月18日、日本の通信業界を代表するNTTグループに激震が走りました。
NTT東日本が2024年度に発注した北海道内の設備工事において、グループ企業間で談合が行われていた疑いがあることが毎日新聞の取材で明らかになりました。
NTTグループという、高い公共性が求められる企業内で、なぜこのような不正行為の疑惑が持ち上がったのでしょうか。
年間数十億円規模にも上る可能性があるこの問題は、単なる企業コンプライアンスの枠を超え、私たちの社会における公正な取引のあり方を問うています。
この記事では、現在明らかになっている情報を基に、以下の点を徹底的に深掘りします。
- 事件の全貌: いつ、どこで、誰が、どのように談合に関与したのか。
- 巧妙な手口: どのようにして入札価格が操作されたのか、その具体的なプロセス。
- 法的・倫理的問題点: 専門家が指摘する独占禁止法違反の可能性と、NTTグループが負うべき社会的責任。
【速報】NTT東日本に激震、グループ内での談合疑惑が浮上
2024年度にNTT東日本(東京都)が北海道内で発注した複数の設備工事。
この指名競争入札を巡り、NTTグループ企業が談合に関与していた重大な疑いが浮上しました。
NTTは内部通報があったことを公式に認め、現在、詳細な内部調査を進めていると発表しています。
事案概要チェックリスト
チェック項目 | 内容 |
☑ 発生時期 | 2024年度(2023年度以前からの常態化も指摘) |
☑ 発生場所 | 北海道内のNTT東日本発注の設備工事現場 |
☑ 関係企業 | NTT東日本、NTTファシリティーズ、日本メックス(子会社)他2社 |
☑ 疑惑の内容 | 指名競争入札における談合(不当な取引制限) |
☑ 被害規模 | 談合参加1社で年間数十億円規模の売上を得た可能性 |
☑ 現在の状況 | NTTが内部通報を受け、事実関係を調査中 |
☑ 公式発表 | NTT広報は「調査中」とコメント。関与疑いの3社も同様 |
【詳細】年間数十億円規模か、巧妙な談合の手口とは
今回の談合疑惑は、極めて計画的かつ巧妙な手口で行われていたと見られています。
毎日新聞が入手した内部資料から、その驚くべきプロセスが明らかになりました。
談合の時系列フロー
- 【事前調整】
- 発生事象: 入札公示前に、工事の設計・監理を担うNTTファシリティーズが、入札に参加する3社(子会社の日本メックスを含む)に対し、複数の工事案件を提示。
- 背景説明: この段階で、どの会社がどの工事を落札するか、大枠の割り振りが決まっていたとみられます。
- 【見積り作成】
- 発生事象: ある工事で、落札予定社とされた日本メックスが、自社だけでなく、競合となる残り2社の分も含めた計3社分の見積もりを全て作成。
- 背景説明: 日本メックスが最も安い価格で落札できるよう、他の2社の見積もり価格を意図的に高く設定するという、完全な出来レースの構図です。
- 【入札・落札】
- 発生事象: 3社は、日本メックスが作成した見積もり通りに応札。
- 背景説明: 結果、事前の計画通りに日本メックスが工事を落札。この一連の流れにより、談合参加企業の1社は年間で数十億円規模の売り上げを得ていた可能性が指摘されています。
【解説】談合の舞台裏:NTTファシリティーズが主導か
今回の疑惑で中心的な役割を担ったとみられるのが、NTTグループ内で設備関連業務を手掛けるNTTファシリティーズです。
同社は、NTT東日本から発注される一連の工事において、実質的に設計や監理を取り仕切る立場にありました。
この優越的な立場を利用し、自らの子会社である日本メックスを含む3社に入札情報を事前に流し、落札業者をコントロールしていた模様です。
これは、発注者側のグループ企業が入札の公平性を自ら歪めるという、極めて悪質な行為と言えます。
【注目】なぜ不正は起きたのか?NTTグループの構造的問題
民間企業間の取引であるため、公共工事の入札とルールは異なります。
しかし、NTTグループにはその成り立ちからくる特殊性と公的な性格が存在します。
比較項目 | 今回のNTTグループの事案 | 一般的な公共事業入札 |
法的根拠 | 独占禁止法(不当な取引制限) | 入札談合等関与行為防止法 |
発注者の性格 | 政府が1/3以上の株式を保有する特殊会社 | 国、地方自治体 |
社会的責任 | 通信インフラを担う高い公共性 | 税金で賄われるため、極めて高い透明性 |
問題の核心 | グループ内という閉鎖的環境での馴れ合い、ガバナンス不全 | 業者間の競争回避、税金の無駄遣い |
NTTは、前身の日本電信電話公社から引き継いだ通信網を基盤とし、通信業界において他社に対する優越的地位にあります。
さらに、現在も政府が株式の3分の1以上を保有しており、その調達活動には一般の民間企業以上に高い公平性と透明性が求められます。
「グループ内で融通し合う」という馴れ合いの構造が、不正の温床となった可能性は否定できません。
【専門家分析】独占禁止法違反の可能性は?池田毅弁護士の見解
公正取引委員会での勤務経験を持つ独占禁止法に詳しい弁護士は、次のように指摘していました。
“NTT東が談合を知らずにお金を払ってきたのならば、独禁法が禁じる『不当な取引制限』に当たる可能性はゼロではない。
NTTは上場企業で株の3分の1を国が保有している。調達には公平性が求められる部分がある。
現実的に独禁法など法による処分が難しくても、倫理的な問題はあり得る”
専門家は、法的な処分の可能性に加え、NTTグループが負うべき「倫理的な問題」の大きさを強調しています。
【話題】社会の反応とNTTグループの公的責任
このニュースを受け、SNS上では驚きと批判の声が上がることが予想されます。
- “まさかNTTのグループ内でこんな談合が行われているとは思わなかった。”
- “結局、高い工事費は利用料金に跳ね返ってくるんじゃないのか?”
- “これだけ大きな会社でも、内部からの通報がなければ明るみに出なかったのかと思うと怖い。”
※上記は想定されるSNS上の反応を参考に作成したものです。
公正であるべき入札が形骸化し、工事費が高止まりすれば、そのコストは最終的にNTTのサービスを利用する国民や株主が負担することになりかねません。
【Q&A】NTT談合疑惑に関する5つの質問
Q1: 今回の談合疑惑で、何が一番問題なのですか?
A1: NTTグループという高い公共性を持つ企業内で、公正であるべき入札を意図的に歪め、特定の企業に不当な利益を与えていた疑いがある点です。企業のガバナンス不全が厳しく問われます。
Q2: 談合の主な原因は何だと考えられますか?
A2: グループ企業内という閉鎖的な関係性の中での「馴れ合い」や、発注業務を実質的に取り仕切る企業の力が強すぎたことが背景にあるとみられます。チェック機能が働かなかった可能性があります。
Q3: 私たちの生活に何か影響はありますか?
A3: 本来であれば競争によって下がるはずの工事コストが、談合によって高止まりしていた可能性があります。そのコストは巡り巡って、通信サービスの料金などに影響を与える恐れが否定できません。
Q4: なぜ「独占禁止法」違反の可能性があるのですか?
A4: 複数の企業が共同して価格などを取り決め、競争を実質的に制限する行為は、独占禁止法が禁じる「不当な取引制限(カルテル)」にあたる可能性があるためです。
Q5: 今後、NTTグループはどうなるのでしょうか?
A5: まずはNTTによる内部調査の結果が注目されます。事実であれば、関係者の処分や、公正取引委員会による調査・処分が行われる可能性があります。再発防止に向けた抜本的な改革が求められます。
【今後の展望】調査の行方と求められる再発防止策
現在、NTTは内部調査を進めていますが、その手はNTTファシリティーズや日本メックスといったグループ企業だけでなく、NTT東日本本体の関与にまで及ぶのかが焦点となります。
求められるのは、徹底的な真相究明と、関与した人物・企業に対する厳正な処分です。
そして何より、グループ内取引における透明性を確保し、外部の目も入れた厳格なチェック体制を再構築することが不可欠です。
今回の談合疑惑は、単なる一つの企業の不祥事ではありません。
私たちの社会インフラを支える巨大企業グループに潜む、構造的な問題を浮き彫りにした出来事なのです。
あなたは、この事案から何を感じ取りますか?
そして、大企業に求められるべき真の公正性とは、どのようなものだと考えますか?
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