高速道路の通行を支えるETCシステムに突然のトラブルが発生し、多くのドライバーが混乱に巻き込まれました。
今回は、2025年4月6日に発生した中央自動車道を中心とするETCシステム障害の詳細と、影響範囲、現地の状況、今後の見通しについて解説します。
突然のETCトラブルが高速道路全体に波及

2025年4月6日未明、ETCシステムに広範な障害が発生し、中央自動車道をはじめとする複数の高速道路でETC専用レーンの使用が不可能となりました。
東京都や山梨県内の料金所の一部が閉鎖され、一般レーンでは係員による手動対応が行われています。
影響は広範囲に及び、現在も復旧の見通しは立っていません。
本記事では、障害の概要、原因、対応状況、そして利用者がとるべき行動について詳しく解説します。
障害の発生と影響

中央自動車道を中心に各地でトラブルが発生
ETCシステムの障害が最初に確認されたのは、2025年4月6日午前0時24分ごろです。
中央自動車道を中心に、東名高速道路、新東名高速道路でも同様のトラブルが確認されました。
この障害により、東京都、神奈川県、静岡県、山梨県、愛知県、三重県の計1都5県の一部料金所やETCレーンに不具合が発生しました。
ETC専用レーンの停止で大規模な混乱が発生
今回の障害で最も大きな影響を受けたのは、ETC専用レーンを利用していたドライバーです。
ETCが通れなくなったことで、スマートインターチェンジは完全に利用不可能となり、通行ルートの変更や渋滞が避けられなくなりました。
現地の対応と混雑状況

三鷹料金所では早朝から5キロの渋滞
特に影響が顕著だったのは中央道の三鷹料金所周辺です。
午前7時半の時点で、下り線では約5キロに及ぶ渋滞が発生しており、多くの車両が進まず足止めを受けていました。
現場では係員が一台ずつ手動で通行処理を行っているものの、通常の処理速度には及ばず、時間帯によっては10キロを超える渋滞も発生しました。
高速道路会社の対応と案内
NEXCO中日本をはじめとする高速道路会社は、通常ETC専用となっているレーンの一部を一般用に切り替え、通行を可能にしています。
また、公式ウェブサイトや交通情報アプリを通じて、最新の状況をリアルタイムで発信し、利用者への情報提供に努めています。
原因の特定と復旧の見通し

原因は依然として不明
今回の障害について、ETCシステムの管理元である関係各社は調査を進めていますが、現時点では原因の特定には至っていません。
サーバーの通信異常やシステムのソフトウェア更新による不具合など、複数の可能性が指摘されています。
冗長化の不足が課題に
通常、重要な交通インフラであるETCシステムには、トラブル時のための冗長化(バックアップ構成)が求められます。
しかし今回の障害では、全国的なバックアップ切替が機能しなかったとの見方もあり、信頼性確保の面での課題が浮き彫りになりました。
専門家の見解と課題

デジタルインフラのリスクが再認識される
交通工学の専門家は、今回の障害が単なるシステムトラブルにとどまらず、今後のインフラ整備に対する大きな警鐘だと指摘します。
今やデジタル化された交通インフラは利便性が高い反面、障害が発生した際のリスクが非常に高く、対応策の充実が必要不可欠とされています。
今後求められる対策とは
専門家によれば、今回のような障害を踏まえて、以下のような対策が急務とされています。
- システムの冗長化とバックアップ環境の強化
- リアルタイム監視システムの高度化
- 運転者への情報提供手段の多様化
- 障害発生時のマニュアル整備と現場職員への教育
利用者がとるべき行動と注意点
出発前の情報確認がカギ
今回のようなトラブル時に最も重要なのは、出発前に最新の交通情報を確認することです。
高速道路会社の公式サイトや、JARTIC、日本道路交通情報センターなどの信頼できる情報源をチェックすることで、トラブルを回避する確率が高まります。
現金の準備や一般レーンの利用も視野に
ETCが使えない状況では、現金やクレジットカードでの支払いが可能な一般レーンの利用が推奨されます。
最近ではキャッシュレス派のドライバーが増えていますが、こうした非常時に備えて最低限の現金を車内に常備しておくことが安全につながります。
今回の障害が示した教訓と今後の展望

高速道路の「当たり前」を見直す機会に
ETCは高速道路の利用を快適にする素晴らしい技術ですが、そのシステムに全面的に依存している現状が明らかになったことは、非常に大きな教訓となります。
利用者も、「ETCが使えなくても困らない」環境づくりを意識すべき時代に入りつつあるといえるでしょう。
安全・安心な道路インフラのために
政府および高速道路会社には、今回のような障害を未然に防ぎ、発生時には速やかに情報共有と対応ができる体制の整備が求められます。
ドライバーの側も、トラブルに備えた柔軟な行動と、安全運転を心がけることが重要です。
まとめ
- ETC障害は2025年4月6日午前0時24分に発生しました。
- 中央道や東名など広範囲でETCレーンが停止しました。
- 各料金所では一般レーンでの手動対応が行われています。
- 三鷹料金所周辺では5キロ以上の渋滞が確認されています。
- 原因は不明で、復旧の見通しは立っていません。
- 出発前に交通情報を確認することが重要です。
※中日本高速道路は、ETC障害が8都県の106か所で発生し、応急復旧により約38時間ぶりに運用を再開。
今回の障害をきっかけに、日本のETCシステムが抱える課題を見直す必要性が浮き彫りになりました。台湾のETC「eTag」の仕組みは、低コストで効率的な運用を可能にしており、日本のシステム改善に向けたヒントを提供してくれます。詳細はこちらの記事をご覧ください。