1966年の設立の和洋菓子老舗「秋月」が、物価高騰などが原因で破産手続き開始

札幌市北区で半世紀以上にわたり親しまれてきた和洋菓子メーカー「秋月」が、破産手続きの開始決定を受けました。

負債総額は約1億3000万円 に上ると見られています。

地域に根ざし、直売所で愛された同社の歩みと突然の終焉。

その背景には、コロナ禍の影響や物価高騰など複合的な要因がありました。

本記事では、秋月の概要から地域への影響までを丁寧に検証します。

目次

秋月の企業概要と菓子づくりの歩み

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長年続いた地域密着型の菓子づくり

秋月は札幌市北区で1966年に設立された和洋菓子メーカーです。

べこ餅どら焼きといった北海道らしい和菓子に加え、バームクーヘンロールケーキなどの洋菓子も手がけていました。

さらに、「黒糖べこ餅」も人気を博していました。素朴な甘さともちもちした食感が年配層のみならず、若い世代にも支持されていました。

地元住民にとっては季節の節目や贈り物に欠かせない存在であり、特に札幌市内のスーパーでは広く流通していました。

また、工場併設のアウトレット直売所では賞味期限が迫った製品や規格外の品が安く販売され、節約志向の家庭や高齢者層を中心に強く支持されていました。

こうした取り組みは、利益追求型とは異なる、地域社会との共生を志向する企業姿勢の現れでした。

商品の特色とファン層の広がり

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秋月の菓子は昔ながらの製法にこだわり、手作業を多く残すスタイルが特徴でした。

イベントや季節限定商品も積極的に展開しており、札幌市内の物産展などでは常連企業としての認知もありました。

これらの活動は、同社の知名度と販売ルートの拡充に大きく貢献してきたといえます。

経営悪化と破産手続きに至るまで

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売上不振とコスト高騰による重圧

秋月の経営は、コロナ禍以降に急速に悪化していきました。

外出自粛や観光需要の減少で売上は落ち込み、その後も回復には至りませんでした。

加えて、小麦粉や砂糖、包装資材などの原材料価格が高騰し続け、利益を圧迫する構造が定着していきました。

一時は新商品の投入や販路拡大による打開策も模索されましたが、根本的な解決には至らず、赤字が継続。

2025年3月末には事業継続が困難と判断し、全業務を停止する決断に至りました。

破産手続き開始決定の詳細

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2025年4月11日、札幌地方裁判所より破産手続き開始決定が下されました。

帝国データバンク札幌支店の調べでは、負債総額は約1億3000万円 に上ると見られています。

取引先や金融機関にとっても、長年の信頼関係が築かれていただけに、この破綻は大きな驚きをもって受け止められました。

今後は破産管財人のもとで資産処理や債権者への対応が進められる見通しですが、地域における経済的・感情的な影響も少なくありません。

地域に根付いた企業が失われた喪失感

直売所の閉鎖と住民の声

秋月の直売所は、地域住民にとって日常的な買い物スポットであり、味の良さと価格の手頃さで高く評価されていました。

店員との会話を楽しみに通っていた高齢者も多く、突然の閉鎖には驚きと落胆の声が広がりました。

SNS上では「長年買い続けていた」「もうあの味が食べられないのは残念」といった投稿が相次ぎました。

単なる菓子販売の場ではなく、人と人とのつながりを感じられる場としての機能を果たしていたことがうかがえます。

地元経済と観光にも波紋

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秋月の撤退は、地元経済にも波及効果を及ぼしています。

近隣のスーパーや小売店では取扱商品のラインナップに変更が生じ、同社の製品を目当てに訪れていた消費者が離れていく現象も一部で起きています。

また、札幌を訪れる観光客にとっても、お土産や話題商品として秋月の菓子を手に取る機会が失われました。

地域ブランドの一端を担っていた企業が消えることで、観光産業全体への影響も懸念されています。

秋月の教訓と中小企業の課題

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原材料費の高騰と中小企業の脆弱性

今回の破産からは、原材料費の高騰や物流コストの増大に直面する中小企業の脆弱性が浮き彫りになりました。

秋月のように地元に根ざし、安定した顧客層を持っていても、外的要因によって一気に経営が立ち行かなくなる事例は少なくありません。

特に食品製造業では、製品単価を容易に上げられないことが多く、収益構造に対する打撃は大きくなりがちです。

この構造的な問題をどう乗り越えるかが、今後の地域経済の持続性に関わる大きな課題です。

今後の再建や支援のあり方

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自治体や商工団体などによる支援策の強化も求められています。

事業再建や事業承継のための仕組み整備が進めば、同様の事例を減らすことができるかもしれません。

秋月の跡地やブランドがどう再活用されるかも、地域にとって重要な課題となります。

破産は終わりではなく、地域のあり方を再構築するための契機にもなり得ます。

秋月の歴史や想いが、新たな形で未来につながることを期待したいところです。

まとめ

  • 秋月は札幌市北区に、拠点を置く老舗菓子メーカーでした。
  • 商品は和菓子と、洋菓子の両方を展開していました。
  • コロナ禍や物価上昇で、経営が悪化しました。
  • 2025年4月に、破産手続きが始まりました。
  • 地域住民からは、惜しむ声が多数寄せられました。
  • 中小企業支援と再建策が、今後の課題です。
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