鳥取県若桜町の「わかさ氷ノ山自然ふれあいの里」で、宿泊施設やスキー場、飲食店、キャンプ場などの管理を手がけていた一般財団法人若桜町観光開発事業団が、鳥取地方裁判所から破産手続き開始決定を受けました。
同事業団は若桜町の出資を受けて1989年に設立され、かつては年間約2億2000万円の収入を計上していましたが、利用客の減少や暖冬、新型コロナの影響などで業況が悪化していました。
さらに、雇用調整助成金の不正受給をめぐり、鳥取労働局から約1億円の返還請求を受けていました。この記事では、破産に至るまでの経緯や背景、管理していた施設の現在について整理します。
・一般財団法人若桜町観光開発事業団が9月18日に破産手続き開始決定
・利用客減少や暖冬、新型コロナの影響などで業況が悪化
・約7879万円の雇用調整助成金を不正受給したとして約1億円の返還請求
・事業団が管理していた施設は現在、別の法人が運営を継続
若桜町観光開発事業団が破産手続き開始決定
帝国データバンクによると、一般財団法人若桜町観光開発事業団は9月18日、鳥取地方裁判所から破産手続き開始決定を受けました。氷ノ山エリアの複数の観光施設を管理してきた法人です。
基本情報
☑ 法人名:一般財団法人若桜町観光開発事業団
☑ 設立:1989年10月
☑ 設立経緯:若桜町の出資を受けて設立
☑ 主な事業:宿泊施設、スキー場、飲食店、キャンプ場などの施設管理
☑ 手続き:9月18日に鳥取地方裁判所から破産手続き開始決定
同事業団は、「わかさ氷ノ山自然ふれあいの里」にある複数の施設を管理していました。
管理していた主な施設
・宿泊施設「氷ノ山高原の宿氷太くん」
・スキー場「樹氷スノーピア」
・飲食店「レストランスノーピア」
・「わかさ氷ノ山オートキャンプ場」
なかでも「氷ノ山高原の宿氷太くん」を中心に施設管理を展開しており、宿泊施設には体育館や研修室も設けられていました。
学生の合宿などにも利用され、観光客だけでなく団体利用にも対応していた施設でした。
設立から破産までの経緯と時系列
若桜町観光開発事業団は1989年に設立され、2006年3月期には年収入高約2億2000万円を計上していました。その後、利用客減少や暖冬、コロナ禍などが経営環境を大きく変えていきました。
主な経過
1989年10月:若桜町の出資を受けて一般財団法人若桜町観光開発事業団が設立
2006年3月期:年収入高約2億2000万円を計上
その後:利用客数が減少し、暖冬によってスキー場の集客も低迷
新型コロナ禍:施設利用などへの影響を受け、業況が大幅に悪化
2023年4月:約7879万円の雇用調整助成金を不正受給したとして鳥取労働局から摘発され、約1億円の返還請求
その前後:キャンプ場、宿泊施設、スキー場などの指定管理業務が終了
2025年5月20日:事業団が解散
9月18日:鳥取地方裁判所から破産手続き開始決定
この経緯からは、突然事業が行き詰まったというよりも、利用客の減少やスキー場を取り巻く環境変化、新型コロナの影響などが重なるなかで、事業環境が厳しくなっていった状況が確認できます。
そのうえで雇用調整助成金をめぐる返還請求も発生し、指定管理業務の終了、法人の解散を経て、今回の破産手続き開始決定に至りました。
業績悪化の背景に利用客減少・暖冬・コロナ禍
公表されている情報では、業績悪化の背景として利用客数の減少に加え、暖冬によるスキー場の集客不振、新型コロナの影響が挙げられています。複数の要因が重なった形です。
同事業団が管理していた施設の一つがスキー場「樹氷スノーピア」です。
スキー場は積雪状況によって営業環境が左右されるため、暖冬によって十分な集客ができなければ、関連する施設の利用にも影響が及ぶ可能性があります。
今回のケースでは、帝国データバンクの情報として、暖冬の影響によってスキー場の集客が振るわなかったことが伝えられています。
また、主力となっていた「氷ノ山高原の宿氷太くん」は、一般の宿泊だけでなく、体育館や研修室を備えて学生の合宿なども受け入れていました。
しかし、利用客数そのものが減少するなか、新型コロナの影響も加わり、業況が大幅に悪化したとされています。
・施設利用客数の減少
・暖冬によるスキー場の集客不振
・新型コロナによる事業環境の悪化
・指定管理業務の終了
雇用調整助成金約7879万円を不正受給
経営問題とは別に大きな負担となったのが、雇用調整助成金をめぐる問題です。約7879万円を不正受給したとして、2023年4月に鳥取労働局から摘発されたとされています。
報道によると、不正受給額は約7879万円でした。
これに伴い、鳥取労働局から約1億円の返還請求がなされていたといいます。
不正受給額と返還請求額が同額ではない点には注意が必要です。今回伝えられている数字では、不正受給したとされる金額が約7879万円、返還請求が約1億円となっています。
その後、キャンプ場や宿泊施設、スキー場などの指定管理業務が終了し、事業団は2025年5月20日に解散しました。
今回の破産手続き開始決定は、その解散後に行われたものです。
破産は回避できた可能性があったのか
破産に至った法人について「回避できなかったのか」という疑問も生じます。ただし、今回公表されている情報だけから、特定の対応をしていれば破産を確実に防げたと判断することはできません。
公表情報から確認できるのは、2006年3月期に約2億2000万円の年収入高があった一方、その後は利用客数が減少していたという点です。
さらに、暖冬によるスキー場の集客不振、新型コロナの影響が重なりました。
宿泊、スキー、飲食、キャンプと複数の施設を管理していても、それぞれの利用状況が観光需要や季節要因などの影響を受ければ、施設全体の運営環境が厳しくなることが考えられます。
一方、雇用調整助成金をめぐる約1億円の返還請求も、事業団にとって無視できない問題だったとみられます。
ただし、どの要因が破産にどの程度影響したのかについては、今回示された情報だけでは詳細な割合までは分かりません。
そのため、「暖冬だけが原因」「不正受給だけが原因」などと単一の要因に絞って破産理由を説明するのは適切ではなく、複数の経営上の問題が重なった経緯として捉える必要があります。
氷ノ山の施設は現在も別法人が運営
今回の破産で気になるのが、宿泊施設やスキー場、キャンプ場が利用できなくなるのかという点です。しかし、報道では対象施設は別の法人によって運営が継続されているとされています。
若桜町観光開発事業団が破産手続き開始決定を受けたからといって、「わかさ氷ノ山自然ふれあいの里」の施設そのものがすべて閉鎖されたという意味ではありません。
同事業団が担当していたキャンプ場、宿泊施設、スキー場などの指定管理業務はすでに終了しています。
現在は別の法人によって施設運営が引き継がれているため、今回の破産については「施設を管理していた旧運営法人の破産」と「現在の施設運営」を分けて考える必要があります。
若桜町観光開発事業団は破産手続き開始決定を受けましたが、同事業団が管理していた施設については、現在は別法人による運営が継続されています。
よくある質問
今回の破産について、施設の営業状況や助成金問題など、記事を読んだ人が疑問に感じやすいポイントを公表されている情報の範囲で整理します。
Q:若桜町観光開発事業団はいつ破産したのですか?
A:帝国データバンクによると、9月18日に鳥取地方裁判所から破産手続き開始決定を受けました。
Q:どのような施設を管理していたのですか?
A:「氷ノ山高原の宿氷太くん」「樹氷スノーピア」「レストランスノーピア」「わかさ氷ノ山オートキャンプ場」などを管理していました。
Q:なぜ業績が悪化したのですか?
A:利用客数の減少に加え、暖冬によるスキー場の集客不振や新型コロナの影響などがあったとされています。
Q:雇用調整助成金はいくら不正受給したのですか?
A:約7879万円を不正受給したとして2023年4月に鳥取労働局から摘発され、約1億円の返還請求がなされていたと報じられています。
Q:氷ノ山の施設は閉鎖されたのですか?
A:同事業団が管理していた施設は、現在は別の法人によって運営が継続されているとされています。
まとめと今後の見通し
若桜町の出資を受けて設立され、長年にわたり氷ノ山の観光施設を管理してきた若桜町観光開発事業団は、9月18日に破産手続き開始決定を受けました。
同事業団は2006年3月期には約2億2000万円の年収入高を計上していましたが、その後は利用客数が減少しました。
暖冬によるスキー場の集客不振に加えて、新型コロナの影響もあり、業況は大幅に悪化したとされています。
さらに、約7879万円の雇用調整助成金を不正受給したとして鳥取労働局から摘発され、約1億円の返還請求を受けていました。
その後、キャンプ場や宿泊施設、スキー場などの指定管理業務が終了し、2025年5月には事業団自体が解散しています。
一方、同事業団が管理していた施設については現在、別の法人によって運営が継続されています。
今後の確認ポイント
・破産手続きが今後どのように進むのか
・債権関係がどのように整理されるのか
・別法人による各観光施設の運営が今後どのように展開されるのか



