和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドで飼育されている4頭のジャイアントパンダ、良浜(らうひん、24歳)、結浜(ゆいひん、8歳)、彩浜(さいひん、6歳)、楓浜(ふうひん、4歳)いずれもメス。が、2025年6月末に中国へ返還されることが決まりました。
このニュースは多くのパンダファンにとって驚きと寂しさをもたらしています。
しかし、この決定には国際的な契約やパンダの健康、繁殖計画など、さまざまな背景があります。
本記事では、パンダ返還の理由や今後の国内のパンダ事情について詳しく解説します。
パンダ返還の背景と理由
「レンタル」という形で飼育しているため、契約期間が終了すれば返還する義務があります。

契約満了による返還
アドベンチャーワールドで飼育されている4頭のパンダは、日中双方で取り組んできた「ジャイアントパンダ保護共同プロジェクト」の一環として中国から日本に貸与されています。
その契約期間が2025年8月で満了するため返還が決まりました。
暑さに弱いパンダの体調に配慮して、前倒しで6月末にも返還される見通しです。
パンダの所有権は中国にあり、日本側は「レンタル」という形で飼育しているため、契約期間が終了すれば返還する義務があります。
健康への配慮と返還時期の前倒し
パンダは暑さに弱いため、体調への配慮から契約満了よりも早い6月末に返還される予定です。
特に24歳の良浜は高齢に差しかかっており、医療体制が整った中国で穏やかに過ごすことが望ましいとされています。
また、結浜、彩浜、楓浜の3頭については、今後の繁殖を目指して新たなパートナーを探すために中国へ戻ることになります。
パンダ外交と国際的な取り決め
パンダは絶滅危惧種であり、ワシントン条約により商業目的の国際取引が禁止されているため、中国は「貸与」という形で各国の動物園にパンダを送っています。
日本で生まれたパンダも、親が中国からの貸与の場合は所有権が中国にあるため、返還対象となります。
アドベンチャーワールドのパンダたちのプロフィール

アドベンチャーワールドで飼育されている4頭のパンダは、すべてメスであり、良浜は2000年に日本で生まれた初めてのメスのジャイアントパンダです。
良浜はこれまでに10頭の子供を授かり、結浜、彩浜、楓浜はその子供たちです。これらのパンダたちは、アドベンチャーワールドで多くの来園者に愛されてきました。
地元とファンの反応

アドベンチャーワールドがある和歌山県白浜町では、パンダの返還に対して地元住民や観光業界から落胆の声が上がっています。
また、多くのパンダファンが最後の姿を見ようと訪れており、園内では「お見送りイベント」の開催も検討されています。
国内のパンダ事情と今後の展望
今回の返還により、日本国内で飼育されているジャイアントパンダは、東京・上野動物園の双子パンダ「暁暁(シャオシャオ)」と「蕾蕾(レイレイ)」の2頭のみとなります。
これらのパンダも契約満了で返還予定であり、今後、日本国内でパンダを見る機会はますます貴重なものとなっていくことが予想されます。
パンダが果たした役割とその功績

アドベンチャーワールドのパンダたちは、単なる人気者にとどまらず、日中友好の象徴としても長年大きな役割を果たしてきました。
良浜をはじめとするパンダたちは、繁殖や育成において世界的にも高く評価されており、日本国内でのジャイアントパンダの繁殖実績は、中国国外ではトップクラスとされています。
これまでに誕生した10頭の子どもたちの多くが健康に育ち、国際的な保護活動にも貢献しています。
また、アドベンチャーワールドは単に動物を見せる施設ではなく、種の保存を目的とした科学的な飼育と研究に力を入れてきました。
その取り組みは国内外の動物園にも多大な影響を与えており、パンダだけでなく他の希少動物への理解と保護意識の向上にもつながっています。
今回の返還は一区切りではありますが、今後も継続的に研究協力が続くことが期待されています。
まとめ
- アドベンチャーワールドの4頭のパンダは、契約満了により6月末に中国へ返還されます。
- 返還の理由は、契約満了、健康への配慮、繁殖計画などが挙げられます。
- パンダの所有権は中国にあり、日本で生まれたパンダも返還対象となります。
- 良浜は高齢のため、中国での穏やかな生活が望まれています。
- 結浜、彩浜、楓浜は繁殖を目指して中国へ戻ります。
- 上野動物園の双子、「暁暁(シャオシャオ)」と「蕾蕾(レイレイ)」の2頭のみとなります。
パンダたちの返還は寂しいニュースですが、彼らの健康と将来の繁殖を考慮した決定です。
中国での新たな生活が幸せであることを願い、これまでの感謝の気持ちを込めて見送りましょう。