青森県八戸市を中心に展開していた洋菓子店「アルパジョン」が破産申請の準備に入りました。
地元で長年愛されてきた同店は、経営難の影響により2025年3月31日をもって事業を停止し、すべての店舗を閉鎖しました。
本記事では、その背景や今後の見通しについて詳しく解説します。
アルパジョンの破産申請と店舗閉鎖の詳細

事業停止と破産申請の準備

アルパジョンは、2025年3月31日をもって事業を停止し、全店舗を閉店しました。
経営状況の悪化を受け、青森地方裁判所八戸支部に破産の申し立てを行う予定です。
これに伴い、従業員約60名が解雇されることとなり、地域経済にも影響を及ぼしています。
負債総額と経営破綻の要因

負債総額と売上の推移
アルパジョンの負債総額は、グループ会社「郷アルパジョン」と合わせて約3億9000万円に達しました。
かつて2012年9月期には3億6200万円の売上高を記録するなど好調だった同社ですが、ここ数年は3期以上連続で赤字が続いていました。
経営悪化の主な要因
経営悪化の背景には、以下のような複数の要因がありました。
- 大手全国チェーンの進出により競争が激化したこと。
- 原材料の高騰(チョコレート、小麦粉など)が経営を圧迫したこと。
- 人件費の上昇により収益を圧縮されたこと。
- コロナ禍の影響で観光客の減少と売上低迷が続いたこと。
- 設備投資の負担が経営を圧迫し、資金繰りが悪化したこと。
アルパジョンの歴史と地域への影響

創業から発展の歴史

アルパジョンは1992年12月に創業し、1994年10月に法人化しました。
地元に根ざした洋菓子店として発展し、「朝の八甲田」などの人気商品を販売していました。
品質の高いケーキや焼き菓子が評判を呼び、地元のみならず県外からのファンも多くいました。
地域社会への貢献
特に「下長店」と「湊高台店」は八戸市の景観賞を受賞するなど、地元で高い評価を得ていました。
多くの地域住民にとって、アルパジョンは特別な存在でした。
クリスマスやバレンタインデーなどのイベント時には、多くの人が店舗を訪れ、地域の活性化にも貢献していました。
破産申請後の対応と今後の展開
一部店舗の継続運営
破産申請により多くの店舗が閉鎖されましたが、「南類家店」は別会社が経営を引き継ぐ予定です。
これにより、一部商品は今後も提供される可能性があります。
また、オンライン販売を活用することで、人気商品の販売を継続する方法も模索されています。
地元経済への影響と今後の課題
アルパジョンの破産申請は、地元経済に少なからぬ影響を与えると考えられます。地域の中小企業が直面する課題として、次の点が浮き彫りになりました。
- 地方における大手チェーン店の影響。
- 原材料費や人件費の上昇による経営圧迫。
- 地域密着型店舗の生存戦略の難しさ。
- 事業継承の難しさによる経営存続のリスク。
- 地元消費者の購買行動の変化への対応。
今後、地域経済の活性化や中小企業の支援策が求められることになります。特に、地元ブランドの保護や中小企業向けの補助金制度の拡充が必要とされています。
洋菓子業界全体への影響

全国の洋菓子店が直面する課題
アルパジョンの破産申請は、全国の洋菓子業界にとっても示唆に富む出来事です。近年、全国的に洋菓子店の倒産が増えており、その背景には以下のような要因があります。
- 輸入材料の高騰により、製造コストが上昇。
- フードデリバリーの普及により、実店舗の集客力が低下。
- 大手スーパーやコンビニのスイーツ充実で個人店の競争が厳しくなった。
- 消費者の嗜好の変化により、高級志向の商品が売れにくくなった。
特に地方の洋菓子店は、観光客の減少や人口減少の影響を受けやすく、経営環境が厳しくなっています。
そのため、今後はオンライン販売の強化や新たなマーケットへの進出が求められるでしょう。
まとめ
- アルパジョンは2025年3月31日で事業を停止し、破産申請の準備を進めています。
- 負債総額は約3億9000万円に達し、従業員約60名が解雇されました。
- 経営悪化の要因には、大手チェーンの進出や原材料費の高騰、コロナ禍の影響などがありました。
- 「朝の八甲田」などの人気商品を販売し、地元に貢献していました。
- 「南類家店」は別会社が経営を継続する予定で、一部商品の販売も検討されています。
- 地元経済や全国の洋菓子業界にとっても大きな影響を及ぼしており、今後の動向が注目されます。