- 2026年2月の円安倒産は5件。2022年7月から44カ月連続の発生。
- 負債総額は約52億円。バイオマス発電関連の大型倒産が9割以上を占める。
- 為替相場は1ドル=156円前後で不安定に推移し、輸入コスト増が継続。
- 卸売業、サービス業、運輸業などで発生。中小企業の収益悪化が深刻。
1. 2026年2月「円安倒産」の概要(何が起きたか)
2026年2月の「円安」を要因とする企業倒産は、全国で5件確認されました。前年同月の12件と比較すると58.3%の減少となっており、一見すると沈静化しているようにも見えます。しかし、特筆すべきは「44カ月連続」という記録的な継続期間です。
負債総額については52億2,900万円で、前年同月(大型倒産があった月)の1割以下に留まりました。しかし、このうち約50億円が1社によるものであり、小規模な企業が静かに市場を去っている状況が透けて見えます。
2. 発生の背景・原因:輸入コスト増と不安定な為替
倒産発生の主な要因は、円安による輸入価格の上昇です。2月前半には1ドル=152円台まで円高に振れる場面もありましたが、後半には再び156円台まで円安が進むなど、極めて不安定な推移を見せました。
関連記事
日本は原材料、燃料、食料品の多くを海外に依存しています。為替の乱高下は、企業の仕入れ価格の予測を困難にし、特に価格転嫁が難しい中小・零細企業の利益を直接的に削り取っています。売上が回復傾向にあっても、「売れば売るほど赤字」という構造的な問題が背景にあります。
3. 関係者の動向・コメント
調査機関である東京商工リサーチの関係者は、今回の結果について「件数は減少したものの、円安の影響が中小企業の収益を圧迫する構図に変わりはない」と指摘しています。コロナ禍からの脱却により需要は戻りつつあるものの、コスト増を吸収しきれない企業が「息切れ」を起こしている状態です。
また、倒産した企業の経営層からは「急激な為替変動に対応するためのヘッジ手段がなく、仕入れ価格の上昇分を販売価格に上乗せすることが顧客維持の観点から困難だった」といった苦渋の声が上がっています。
4. 被害状況や負債金額・件数の詳細
2月の負債総額52億2,900万円の内訳を見ると、その大半が鳥取県の米子バイオマス発電合同会社によるもの(約49億7,000万円)でした。この1件で月間の負債総額の95.0%を占めており、エネルギー関連などの大規模な設備投資を伴う事業が、円安によるコスト増の直撃を受けた形です。
業種別では、以下の通りとなっています:
- 卸売業:2件(前年同月5件)
- サービス業他:2件(前年同月2件)
- 運輸業:1件(前年同月ゼロ)
5. 行政・警察・企業の対応
政府および関係省庁は、円安の影響を受ける中小企業向けに「価格転嫁対策」の強化を継続しています。下請法に基づき、コスト上昇分を不当に据え置く親事業者への監視を強めていますが、実態としては十分な転嫁が行われていないケースも散見されます。
また、日本銀行による金融政策の修正(利上げ)が為替に与える影響も注視されていますが、金利上昇は同時に企業の借入金利負担増を意味するため、経営の舵取りはより一層難しくなっています。
6. 専門家の見解や分析
経済アナリストの分析によれば、「円安倒産は今後も中小・零細企業を中心に高止まりする」と予測されています。大手企業が円安による輸出メリットを受ける一方で、内需型の中小企業はその恩恵を受けられず、格差が拡大する「K字型」の経済状況が顕著になっています。
専門家は、「単なる為替対策だけでなく、エネルギー自給率の向上や、付加価値の高いサービスへの転換など、抜本的なビジネスモデルの変革が求められている時期」であると警鐘を鳴らしています。
7. SNS・世間の反応
SNS上では、このニュースに対して悲観的な意見が多く見られます。「44カ月連続は異常。もう円安が当たり前になりすぎて感覚が麻痺している」「輸入食品が高すぎて生活が厳しい。倒産が増えればさらに選択肢が減る」といった消費者の声が目立ちます。
また、経営者アカウントからは「物価高、人件費高騰、そして円安。三重苦で限界に近い」といった切実な投稿も相次いでおり、地域経済の基盤を支える中小企業の疲弊に対する懸念が広がっています。
8. 今後の見通し・影響
今後の焦点は、為替相場が150円台後半で定着するか、あるいはさらなる円安が進むかという点です。仮に160円台に迫るような事態になれば、現在の「件数減少」傾向は反転し、連鎖倒産や廃業の加速を招く恐れがあります。
特に春先から夏にかけては、原材料価格の見直し時期を迎える企業が多く、さらなる値上げラッシュと、それに伴う消費冷え込みの悪循環が懸念されます。円安倒産の「高止まり」は、日本経済のデフレ脱却を阻む大きな壁となるでしょう。
9. よくある質問(FAQ)
Q:なぜ円安だと倒産が増えるのですか?
A:日本企業の多くは海外から原材料を輸入しています。円安になると輸入価格が跳ね上がり、製造コストが増大します。これを販売価格に転嫁できない企業が赤字となり、倒産に至ります。
Q:倒産件数が減っているのに「深刻」と言われるのはなぜ?
A:件数は減っても「44カ月連続」という異例の長期化が起きているからです。体力の限界を迎えた企業が少しずつ脱落しており、日本経済の土台である中小企業が衰退し続けていることを意味します。
Q:消費者としてできることはありますか?
A:適切な値上げを受け入れる土壌作りも重要です。「安さ」だけを追求すると、最終的には供給側の企業が持ちこたえられなくなり、サービスの質低下や市場消滅につながる可能性があります。
10. まとめ
2026年2月の円安倒産は5件と減少したものの、44カ月連続の発生という異常事態が続いています。不安定な為替相場と高止まりする輸入コストは、依然として中小企業の経営を蝕んでいます。
私たちの生活に直結する卸売業や運輸業への影響も大きく、今後も企業努力だけでは解決できない「構造的な問題」が続く見通しです。政府の支援策や為替動向を注視しつつ、社会全体でこのコスト増にどう立ち向かうかが問われています。今後の経済動向から、ますます目が離せません。

