広島で成功した『だまされたふり作戦』受取役逮捕の全貌

「投資すればもうかる」──そんな甘い誘いがLINEに届いたとき、あなたはどう動くでしょうか。広島県福山市で、自営業の男性に近づいた“財務マネジャー”を名乗る受取役の男が、現金500万円を受け取ろうとした瞬間、現場は一変します。

男性からの通報を受け、警察は「だまされたふり作戦」を実施。福山市三之丸町の歩道に受取役をおびき出し、8月29日正午過ぎ、現金受け渡しの場に現れた男（23）を現行犯逮捕しました。「人をだます事件とは思わなかった」という供述は、劇場型詐欺の組織構造を示唆します。

本稿では、現場で何が起きたのかを物語調で再構成しつつ、だまされたふり作戦の手順、LINE投資詐欺の構造、法制度・実務対応、そして読者が今日から取れる対策まで、体系的に整理します。読み終えたとき、あなたは“次の一手”を迷わず選べるはずです。

福山市で何が起きたのか？現場の12時15分

始まりは「投資で利益が出る」というメッセージ。数カ月にわたり、男性のLINEに“費用が必要”と繰り返し届きました。舞台は人通りのある三之丸町の歩道。正午を回り、日差しが強さを増すなか、受取役は予定時刻に現れました。

周辺は昼休み人流と車の往来。警察は事前に待機・配置を完了。男性は指示された封筒を手に、自然な動線を保ちながら間合いを測ります。金銭確認の合図──その刹那、複数方向から警察官が収束。動揺した受取役は身柄を確保され、逮捕に至りました。

時刻	出来事	当事者の動き
〜当日午前	受け渡し指示がLINEで届く	男性が警察に相談、打合せ
正午ごろ	待ち合わせ場所に到着	警察が不審者を監視・配置
12:15	受取役が現金を受領しようとする	現行犯逮捕、身柄確保

※本件は未遂段階での逮捕。被害金の喪失は回避されました。

すべては“投資話”から始まった：SNSから歩道へ

詐欺グループは、SNSやメッセージアプリで“利益の予感”を植え付け、短期での回収を狙います。親切な相談役を装い、専門用語や成功体験を散りばめ、次第に“資金投入の正当性”を演出していきます。

やがて現れるのが“受取役”。彼らは「財務」「管理」「コンサル」などの肩書を名乗り、現金を直接受け取る役回りです。本人は“運び屋”だと認識しているに過ぎないことも多く、組織の末端が露出するのはこの局面です。

数字が示す“未然防止”の要点：通報→連携→確保

だまされたふり作戦は、通報の早さ・受け渡し条件の固定化・現場の安全確保の3点が成否を分けます。金銭授受の瞬間は危険が伴うため、一般人が単独で対応するのは厳禁。警察主導で、第三者の安全にも配慮して実施されます。

プロセス	目的	具体的ポイント
初動通報	被害化の回避	メッセージ保存、通話録音、日時・場所の共有
受け渡し設定	現場確保の容易化	人通り・見通し・カメラのある地点を誘導
確保・逮捕	受取役の摘発	多方向からのアプローチと第三者保護

なぜ“LINE投資詐欺”は拡散しやすいのか？

対立軸は「高収益を夢見る心理」対「リスクを見抜くリテラシー」。SNSは匿名性×拡散力が高く、成功談だけが切り出されシェアされます。さらに、リアルでの“現金受け渡し”はデジタル痕跡を薄め、資金回収を難しくします。

文化的背景として、対面の信頼を重視する心理が悪用されます。肩書・名刺・スーツ・専門用語──“それらしく”装うことで、人は詳細の確認より“雰囲気の信頼”を優先しがちです。

SNS拡散が生む“擬似専門家”と検証不能性

匿名アカウントが作る“勝ち筋ストーリー”は、画像・グラフ・残高スクショで真実味を補強します。だがそれらは編集可能で、第三者検証は困難。被害者は「バスに乗り遅れたくない」心理で判断を早めてしまいます。

組織はどう動いたのか：連携の実務

警察は、通報者との打合せで“場所・時間・合図”を確定。現場では複数班が監視し、一般通行人の安全を優先しつつ、受取役の接近・確認・確保を段階的に実施します。証拠はメッセージ履歴・通話履歴・現場動画などを組み合わせて立証力を高めます。

冒頭への呼応：次に被害を止めるのは“あなたの初動”

LINEの一通から、歩道の逮捕劇へ──被害は回避できました。鍵は、通報という“最初の一手”でした。だまされたふり作戦は、警察と市民の連携が前提。不審を感じたら保存・通報・相談。それだけで、次の500万円を守れます。