「スマホゲームはもう儲からない時代なのか?」
多くのユーザーが日常的に触れるモバイルゲームの世界で、今、大きな地殻変動が起きています。
2025年夏、人気ゲーム「モンスターストライク(モンスト)」が東京都渋谷区のふるさと納税返礼品にゲーム内通貨「オーブ」を提供し始めました。この斬新な取り組みの裏には、業界全体が直面する収益悪化と運営コスト増大という深刻な現実があります。
この記事では、モンストの返礼品化の衝撃から、スクエニの10年ゲーム終了、そして「冬の時代」に突入したスマホゲーム産業の本質に迫ります。読み終える頃には、あなたはゲーム産業の未来を見通すための新しい視点を得られるでしょう。
- 物語的要素:モンストの「ふるさと納税参入」が象徴する産業の転換点
- 事実データ:市場規模は2019年1兆3530億円→2024年1兆105億円へ減少
- 問題の構造:開発費高騰とヒット作不足による収益悪化
- 解決策:返礼品化・IP多角展開・新規収益源の模索
- 未来への示唆:スマホゲームは「サービス型」から「社会基盤型」へと変容する可能性
2025年夏、モンストがふるさと納税に参入した理由
2025年8月、MIXIはモンスト内で使用される「オーブ」を渋谷区のふるさと納税返礼品として提供開始しました。自治体の返礼品に「ゲーム内通貨」が登場するのは前例がほとんどなく、SNSでは賛否両論が巻き起こりました。
日付 | 出来事 | 影響 |
---|---|---|
8月26日 | 総務相が「区域内付加価値」として返礼品を容認 | 法的に「否定できない」前例化 |
8月27日 | 報道各社が「モンスト返礼品化」を大きく報道 | ゲームと行政の関係性が注目 |
すべては「市場縮小と高騰コスト」から始まった
国内スマホゲーム市場は2019年に1兆3530億円のピークを迎えましたが、その後は右肩下がりで縮小を続けています。さらに開発費は平均5億円と、過去10年で4.7倍に膨らみました。
「10年続くゲームもサ終に直面する」時代背景の中で、モンストの返礼品化は単なる話題づくりではなく、収益悪化を補うための実験的取り組みだったと考えられます。
数字が示すスマホゲーム産業の「冬の時代」
以下の表は、スマホゲーム市場の推移と開発費の変化をまとめたものです。
年度 | 市場規模(兆円) | 開発費(億円/本平均) |
---|---|---|
2019 | 1.353 | 1.1 |
2024 | 1.011 | 5.0 |
なぜ「10年ゲーム」だけが相次ぎ終了するのか?
スクエニは「星ドラ」「FFBE」を2025年10月で終了すると発表しました。両作品は10年続きましたが、長期運営ゆえの複雑化と運営コストの増大が原因とされています。
一方、ガンホーの「パズドラ」は13年継続中ですが、以降のヒット不足で株主から社長解任案が出る事態に。ここには「長期運営 vs 新規ヒット」の構造的対立が見えてきます。
「スマホゲームは寿命が延びるほど、改修コストとユーザー維持費が重くのしかかる。10年を超えると持続可能性は著しく低下する」
ガチャ依存と浪費リスクが社会問題化
モンストの返礼品は「ガチャ」に使われるため、射幸心をあおるとの批判があります。もし今後、動画配信や電子書籍アプリの通貨も返礼品化されれば、規制との整合性がさらに問われるでしょう。
行政はどう動いたのか
総務相は「区域内付加価値」として認定を容認しましたが、総務省の担当者も「ゲーム内通貨の定義は難しい」と曖昧な説明にとどまっています。今後は制度の明確化とガイドライン策定が不可欠です。
スマホゲーム「冬の時代」をどう乗り越えるか
モンストのふるさと納税参入は、収益悪化の象徴であると同時に、業界の新たな挑戦でもあります。スクエニやガンホーの動向を見ても、「10年の壁」を越えた先に新たなビジネスモデルを築けるかどうかが生存の鍵です。
利用者としては、ただ遊ぶだけでなく「産業構造そのものが変わっていく」ことを意識し、賢く付き合う時代に入ったといえるでしょう。