2025年、競馬などの公営ギャンブルで巨額の利益を得ながら税務申告をごまかしたとして、サッカーJ3「アスルクラロ沼津」運営会社の前会長ら2人が東京国税局から告発されました。
独自のコンピューターシステムを使い、機械的に馬券を大量購入していたことが明らかになっています。

この記事では以下のことが分かります
- 脱税事件の詳細と手口
- 香港の自動購入システムの仕組み
- 公営ギャンブルの税金に関する注意点
馬券購入システムによる脱税事件の全容
今回の事件では、独自のコンピューターシステムを使って組織的に馬券を購入し、巨額の利益を得ていた実態が明らかになりました。東京国税局の強制調査により、脱税の手口と利益配分の詳細が判明しています。
告発された2人の人物像
東京国税局査察部から所得税法違反容疑で告発されたのは、以下の2人です。
谷強氏(57歳)
- サッカーJ3「アスルクラロ沼津」運営会社の前会長
- 東京都渋谷区在住
- 所得隠しによる脱税の疑い
徳中棟梁氏(71歳)
- 飲食店経営会社の役員
- 東京都新宿区在住
- 確定申告を行わなかったことによる脱税の疑い
脱税額と利益の詳細
2人は2021年までの2年間で、中央競馬、地方競馬、ボートレースなどから約6億1千万円の払戻金を得ていました。しかし、適切な税務申告を行わず、合計約2億6千万円を脱税した疑いが持たれています。
2人はすでに修正申告と納税を済ませており、「皆様にご迷惑をおかけし、おわびします」とコメントを発表しています。
関係者によると
香港の指示役と利益配分
この事件で特に注目されるのは、香港在住の男性が開発した独自システムの存在です。男性は十数年前にこのシステムを開発し、指示役として活動していました。
利益配分の内訳
- 購入役(谷氏・徳中氏):約1割
- 香港の指示役:約9割(数十億円)
驚愕の自動購入システムの実態
香港在住の男性が開発した自動購入システムは、十数年前から稼働していました。以下では、そのシステムの詳細な仕組みと、どのようにして毎月安定的に利益を生み出していたのかを解説します。
- 最大60人分のアカウントを同時運用
- AIによる自動購入で月20億円規模の投票
- 購入パターンの最適化により安定収益を実現
システムの仕組みと規模

香港の男性が開発したシステムは、以下のような特徴を持っていました。
購入方法の詳細を見る
- 主に中央競馬のネット投票を利用
- 親族や知人ら約60人分のアカウントを使用
- 1レースで100通り以上の馬券を購入
- 月間最大20億円の購入額
利益を生み出す仕組み
このシステムは単なるギャンブルではなく、高度な計算に基づいていたと考えられます。実際、払戻金から購入額を差し引いた利益はほぼ毎月発生していました。
ポイント
購入役の2人は、得た利益を現金で保有したり、投資に充てたりしていたことが明らかになっています。
なぜ香港の男性は告発されなかったのか
国税局は2023年3月に強制調査(査察)を実施しましたが、香港の男性への告発は見送られました。その理由として以下が挙げられます:
理由1
日本での所得税の申告義務がない
理由2
海外居住者に対する課税の困難性
理由3
国際的な税務執行の限界
公営ギャンブルと税金の重要な注意点
公営ギャンブルで得た利益には必ず税金がかかります。趣味の範囲を超えた組織的な購入や、システムを使った購入は特に注意が必要です。ここでは、課税の仕組みと申告を怠った場合のリスクについて詳しく解説します。
⚠️ 重要な税務知識
- 年間50万円を超える利益は確定申告が必要
- 継続的な購入は「雑所得」として高い税率が適用
- 無申告の場合、最大40%の重加算税のリスク
課税対象となる所得

公営ギャンブルで得た払戻金は、以下の場合に課税対象となります:
一時所得として課税される場合
- 趣味や娯楽として行う場合
- 年間50万円を超える利益が発生した場合
雑所得として課税される場合
- 継続的・反復的に行う場合
- システムを使った機械的な購入の場合
税務申告を怠った場合のペナルティ
税務申告を怠ると、以下のようなペナルティが科される可能性があります:
追徴課税
本来の税額に加算
重加算税
35~40%
刑事告発
悪質な場合
適切な申告の重要性
今回の事件は、公営ギャンブルで大きな利益を得た場合の税務申告の重要性を改めて示しています。特に、システムを使った継続的な購入は事業所得や雑所得として扱われる可能性が高く、適切な申告が必要です。
まとめ:事件から学ぶべきこと
今回の2.6億円脱税事件は、公営ギャンブルにおける税務の重要性を浮き彫りにしました。システムを使った組織的な馬券購入で得た利益も、適切に申告しなければ重大な結果を招きます。特に以下の点に注意が必要です:
重要ポイント
- システムを使った購入は課税対象
機械的・継続的な馬券購入は趣味の範囲を超え、課税対象となります。 - 海外との連携による節税は困難
香港の指示役は告発を免れましたが、日本国内の協力者は処罰の対象となりました。 - 修正申告では済まない場合も
今回は修正申告で済みましたが、悪質な場合は刑事罰の対象となる可能性があります。
公営ギャンブルで利益を得た場合は、必ず税理士などの専門家に相談し、適切な申告を行うことが重要です。
よくある質問
Q: 馬券の払戻金はいくらから税金がかかりますか?
A: 年間の利益(払戻金-購入額-50万円)が発生した場合、一時所得として課税対象となります。
Q: システムを使った馬券購入は違法ですか?
A: システムの使用自体は違法ではありませんが、得た利益に対する適切な税務申告が必要です。
Q: 海外在住者への馬券購入の依頼は問題ありますか?
A: 日本国内で活動する場合は日本の税法が適用されるため、適切な申告が必要です。
Q: 脱税が発覚した場合のペナルティは?
A: 追徴課税に加え、重加算税(35~40%)が課される可能性があり、悪質な場合は刑事告発の対象となります。
Q: 公営ギャンブルの税金について相談できる場所は?
A: 税理士事務所や税務署の相談窓口で、具体的なケースについて相談することができます。