あなたも、医療機関から血液や尿などの検体検査を請け負う臨床検査事業は、「医療に欠かせないため経営が安定しやすい」と思っていませんでしたか?
実際には、鳥取県鳥取市の臨床検査事業者「エフエムエルサービス」と、飲食店を運営する関連会社「くれたけ」が、2026年7月29日に事業を停止しました。両社は鳥取地方裁判所へ自己破産を申請し、翌30日に破産手続き開始決定を受けています。
エフエムエルサービスは、コロナ禍にPCR検査の受注を伸ばしたものの、その後は需要の沈静化や検査件数の減少が進みました。さらに、業績不振が続く関連会社への貸付金が増加し、債務超過の状態から抜け出せなかったとされています。
くれたけも複数の飲食店を展開していましたが、店舗の稼働率低下や慢性的な赤字、食材費上昇に対する価格転嫁の遅れに苦しみ、グループ全体で事業継続を断念する結果となりました。
この記事では、「エフエムエルサービス破産」「くれたけ倒産」「鳥取市の臨床検査会社」「負債13億円の原因」について、確認できる事実を基に詳しく解説します。
・エフエムエルサービスとくれたけが2026年7月29日に事業を停止
・2026年7月30日に鳥取地方裁判所から破産手続き開始決定
・2社の負債総額は約13億1000万円
・PCR検査需要の減少と通常検査件数の落ち込みが影響
・関連会社への貸付金増加により債務超過が続いた
・飲食事業では店舗稼働率の低下、食材費高騰、価格転嫁の遅れが重なった
・事業別の採算管理とグループ会社間の資金管理が大きな教訓
事案概要
今回の破産は、医療分野の臨床検査事業者と、飲食事業を手がける関連会社が同時に経営破綻した事例です。異なる業種の経営悪化が、グループ内の資金関係を通じて連鎖した点が注目されます。
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現時点で確認できる両社の基本情報を整理します。
基本情報チェックリスト
☑ 会社名:エフエムエルサービス
☑ 所在地:鳥取県鳥取市
☑ 主な事業:血液や尿などの検体検査、調剤薬局関連事業
☑ 設立:1995年7月
☑ 事業停止日:2026年7月29日
☑ 自己破産申請日:2026年7月29日
☑ 破産手続き開始決定日:2026年7月30日
☑ 管轄裁判所:鳥取地方裁判所
☑ 負債総額:約10億6000万円
☑ 負債額の基準時点:2025年9月期末
関連会社の基本情報
☑ 会社名:くれたけ
☑ 所在地:鳥取県鳥取市
☑ 主な事業:日本料理店、うどん店、焼き肉店、中華料理店などの経営、精肉販売
☑ 設立:2017年7月
☑ 事業停止日:2026年7月29日
☑ 破産手続き開始決定日:2026年7月30日
☑ 2024年6月期の年売上高:約4億円
☑ 負債総額:約2億5000万円
☑ 負債額の基準時点:2025年6月期末
2社の負債総額は、合計で約13億1000万円に上ります。
エフエムエルサービスは、医療機関から受診患者の血液や尿などを預かり、検体検査を行う事業を主力としていました。
くれたけは、日本料理店「呉竹鮨」の鳥取店と松江店をはじめ、うどん店、焼き肉店、中華料理店などを経営し、精肉販売も手がけていました。
事件詳細と時系列
両社の経営破綻は、突然一つの問題が発生したのではなく、事業規模の縮小、特需の終了、関連会社の赤字、貸付金増加などが長期間にわたって重なった結果とみられます。
設立から破産手続き開始までの流れを、時系列で整理します。
時系列フロー
1995年7月 エフエムエルサービスを設立
2000年 調剤薬局を開設し、臨床検査以外の分野へ事業を拡大
2016年9月期 エフエムエルサービスが年収入高約10億900万円を計上
2017年7月 飲食店運営会社のくれたけを設立
2016年9月期以降 薬局の閉店や関連会社への事業譲渡により、エフエムエルサービスの事業規模が縮小
コロナ禍 PCR検査などを受注し、検査需要が増加
2022年9月期 エフエムエルサービスが年売上高約7億円を計上
コロナ禍収束後 PCR検査需要が落ち着き、検査件数も減少
2024年6月期 くれたけが年売上高約4億円を計上
2024年11月頃 くれたけが経営改善のため店舗閉鎖を進める
2025年6月期末 くれたけの負債総額が約2億5000万円
2025年9月期末 エフエムエルサービスの負債総額が約10億6000万円
2026年7月29日 2社が事業を停止し、鳥取地方裁判所へ自己破産を申請
2026年7月30日 2社が破産手続き開始決定を受ける
エフエムエルサービスは、2016年9月期に約10億900万円の年収入高を計上していました。
しかし、その後は薬局の閉店や関連会社への事業譲渡などによって事業規模が縮小しました。
コロナ禍ではPCR検査需要を取り込み、一時的に受注を伸ばしました。2022年9月期には約7億円の年売上高を確保しています。
ところが、感染状況の落ち着きとともにPCR検査需要が減少し、通常の検査件数も伸び悩んだことで、売上の維持が難しくなったとみられます。
さらに、多角化を進めていた関連会社の業績が振るわず、エフエムエルサービスから関連会社への貸付金が増加しました。
これにより、エフエムエルサービスでは債務超過の状態が続き、最終的に事業継続を断念することになりました。
エフエムエルサービスはなぜ破産したのか
エフエムエルサービスの破産には、コロナ特需の終了だけでなく、本業の検査件数減少、事業規模の縮小、関連会社への資金支援という複数の要因が影響しています。
公表された内容から、主な原因を分けて整理します。
PCR検査の需要が落ち着いた
コロナ禍では、感染の有無を確認するPCR検査が急増し、臨床検査事業者にとって一時的な受注拡大につながりました。
エフエムエルサービスもPCR検査を手がけ、2022年9月期には約7億円の年売上高を計上しています。
しかし、感染症対策の変化や検査体制の見直しに伴い、PCR検査の需要は次第に落ち着きました。
一時的な需要によって増えた売上が元に戻る一方で、人員や設備などの固定費が残れば、収益性は急速に悪化する可能性があります。
コロナ特需の終了をどの程度想定していたのか、設備や人員をどのように調整したのかは公表されていません。
通常の検査件数も減少した
エフエムエルサービスでは、PCR検査だけでなく、医療機関から受託する血液や尿などの検体検査件数も減少したとされています。
臨床検査事業では、検査設備や専門人材、検体を運ぶ集配体制などを維持する必要があります。
検査件数が減っても、設備費、人件費、車両費、システム維持費などを短期間で大幅に削減することは容易ではありません。
受注量の減少によって設備や人員の稼働率が下がり、1件当たりの固定費負担が高まった可能性があります。
薬局閉店や事業譲渡で事業規模が縮小
同社は2000年に薬局を開設するなど、臨床検査以外の事業にも取り組んでいました。
しかし、その後は薬局の閉店や関連会社への事業譲渡が進み、2016年9月期以降は事業規模が縮小しました。
事業譲渡によって不採算部門を整理できる場合がある一方、売上や利益を生み出していた事業を手放せば、会社全体の収益基盤が弱くなることもあります。
今回の事業譲渡が収益や資金繰りへどの程度影響したのか、詳しい内容は明らかになっていません。
関連会社への貸付金が増加
今回の破産原因として特に重要なのが、業績不振に陥った関連会社への貸付金の増加です。
関連会社に資金を貸し付けると、貸し付けた会社から現金が流出します。貸付先の経営が改善しなければ、返済を受けられず、貸付金が回収困難になる可能性があります。
エフエムエルサービスでは、関連会社の事業多角化が思うように進まず、資金支援の負担が積み上がったとみられます。
本業の検査事業で売上が減少する中、関連会社への貸付金が増えたことで、手元資金と財務体質の双方が悪化した可能性があります。
債務超過の状態が続いた
債務超過とは、会社が保有する資産よりも負債の方が多い状態です。
債務超過になっただけで直ちに倒産するわけではありませんが、金融機関からの新規融資や取引先からの信用確保が難しくなる場合があります。
営業活動で継続的に利益と現金を生み出せなければ、借入金返済や仕入れ代金などの支払いが困難になります。
エフエムエルサービスでは債務超過が続き、業績回復や財務改善の見通しを立てることが難しくなったため、事業継続を断念したとされています。
くれたけはなぜ破産したのか
くれたけは複数の飲食店を運営し、2024年6月期には約4億円の年売上高を計上していました。しかし、売上規模が一定程度あっても、店舗運営で利益を確保できなければ資金は残りません。
同社が破産に至った背景には、店舗稼働率の低下、慢性的な赤字、食材費高騰、価格転嫁の遅れがありました。
各店舗の稼働率を維持できなかった
飲食店の稼働率は、座席数に対してどの程度の利用客が入り、店舗や従業員が効率よく動いているかを判断する重要な指標です。
来店客が少ない時間帯や曜日が増えても、家賃、人件費、光熱費などは発生します。
くれたけでは、複数店舗の稼働率を十分に維持できず、店舗ごとの固定費を売上総利益で賄うことが難しくなったとみられます。
特に、日本料理店、うどん店、焼き肉店、中華料理店では、必要な設備や食材、従業員の配置が異なり、複数業態を管理する負担も大きくなります。
慢性的な赤字が続いた
くれたけでは、各店舗の不振によって慢性的な赤字が続いていました。
売上高が約4億円あっても、食材の仕入れ費用、人件費、家賃、水道光熱費、広告費、設備維持費などが売上を上回れば赤字になります。
複数店舗を運営する企業では、好調な店舗の利益で不採算店舗の損失を補うことがあります。
しかし、赤字店舗が増えたり、不振期間が長期化したりすれば、会社全体の資金を消耗し続けることになります。
食材費上昇を価格へ転嫁できなかった
飲食業では、肉、魚、米、野菜、油、調味料など、多くの食材価格が利益率へ直接影響します。
食材費が上昇した場合、販売価格を据え置けば、同じ料理を提供しても店舗に残る利益は少なくなります。
くれたけでは、食材費の上昇に対する価格転嫁が十分に進まなかったとされています。
値上げを行うと客離れが起きる可能性があるため、飲食店にとって価格改定は難しい判断です。
一方、原価上昇を長期間自社で吸収すれば、売上が維持されていても利益と現金が減少し、資金繰りを圧迫します。
店舗閉鎖でも改善が間に合わなかった
くれたけは2024年11月頃から店舗の閉鎖を進め、経営改善に取り組んでいました。
不採算店舗を閉鎖すれば、将来的な家賃、人件費、光熱費などを削減できます。
ただし、閉店時には原状回復費、退職関連費用、リース契約の解約費、在庫処分など、一時的な資金負担が発生することもあります。
また、赤字が長期間続いた後では、店舗閉鎖による改善効果が表れる前に手元資金が不足する場合があります。
くれたけでは店舗整理を進めていたものの、経営を立て直すまでには至りませんでした。
エフエムエルサービスの破綻が連鎖した
くれたけは、エフエムエルサービスの経営破綻に連鎖する形で事業継続を断念しました。
エフエムエルサービスから資金面の支援を受けていた場合、支援元が破産すれば追加の資金供給を受けられなくなります。
さらに、破産手続きでは関連会社への貸付金も資産として扱われ、破産管財人による回収の対象となる可能性があります。
グループ会社への依存度が高い企業では、単独で事業を継続できる収益力と資金力を確保できなければ、親会社や関連会社の破綻が連鎖する危険があります。
背景分析と類似事例
今回の事例には、コロナ特需終了後の需要減少と、多角化した関連会社への資金支援が重なったという特徴があります。これは特需型事業や企業グループで起こり得る共通リスクです。
エフエムエルサービスとくれたけの状況を、業界で一般的に見られる経営課題と比較します。
| 比較項目 | 今回の2社 | 同様の企業で見られる傾向 |
|---|---|---|
| 主な事業 | 臨床検査と飲食店運営 | 専門事業と関連会社の多角化 |
| 一時的な需要 | PCR検査の需要増加 | 感染症、災害、制度変更による特需 |
| 特需終了後 | PCR検査需要と検査件数が減少 | 売上減少に固定費削減が追いつかない |
| 関連会社の状況 | 飲食店の赤字と貸付金増加 | 不振事業への資金支援が長期化 |
| コスト問題 | 食材費上昇を十分に価格転嫁できず | 原材料高を自社で吸収し利益率が低下 |
| 経営改善 | 店舗閉鎖を進めたが改善に至らず | 対応が遅れると閉鎖費用も負担になる |
| 最終対応 | 2社が同時期に自己破産 | グループ内で経営破綻が連鎖する場合がある |
今回の最大の特徴は、臨床検査事業で得た資金が、業績不振の関連会社への貸付金として流出したとみられる点です。
事業多角化そのものが問題なのではありません。異なる市場へ進出することで、収益源を増やし、単一事業への依存を減らせる場合もあります。
しかし、新規事業や関連会社の赤字を本業の資金で支え続けると、本業まで資金不足に陥る危険があります。
特に、特需によって一時的に得た利益や現金を、恒常的に続く収益と同じように判断すると、過大な投資や支援につながる可能性があります。
コロナ特需終了後に企業が直面する課題
コロナ禍では、感染対策、検査、衛生用品、宅配など、一部の業種で急激に需要が拡大しました。しかし、その需要が通常水準へ戻った後の対応が、企業の存続を左右します。
特需を経験した企業が注意すべきポイントを整理します。
一時的な売上を通常需要とみなさない
感染症や災害などによって発生した需要は、社会状況の変化とともに急速に減少する可能性があります。
特需期の売上を基準に人員、設備、借入金、固定費を増やすと、需要減少後に重い負担が残ります。
今回のエフエムエルサービスが、PCR検査にどの程度の設備投資や人員増強を行ったのかは公表されていません。
一般論として、特需期には需要が半減した場合や通常水準へ戻った場合の資金計画も作成する必要があります。
特需で得た資金の使い道を慎重に判断する
一時的に利益や手元資金が増えると、新規事業への進出や関連会社への投資を行いやすくなります。
しかし、特需終了後には本業の売上が減少する可能性があるため、一定の資金を内部に残しておくことが重要です。
関連会社への貸付金は、帳簿上では資産として計上されても、返済能力が低ければ現金化できません。
貸付先の経営が悪化した場合に備え、貸付上限、返済期限、追加支援の停止基準を設ける必要があります。
需要減少前に固定費を調整する
売上が減少してから人員や設備を見直しても、契約や雇用の関係で削減には時間がかかります。
需要のピークアウトが見え始めた段階で、設備稼働率、人員配置、外部委託、拠点数などを段階的に調整することが重要です。
対応を先送りすると、売上減少と固定費負担が重なり、手元資金が急速に減少する可能性があります。
現場対応と社会的反響
破産手続き開始後は、破産管財人が両社の資産、貸付金、設備、売掛金、店舗契約などを調査します。従業員や取引先、医療機関、店舗利用者への影響も今後の焦点です。
医療機関への影響
エフエムエルサービスは、医療機関から患者の検体検査を受託していました。
事業停止によって、取引先の医療機関は別の検査会社へ委託先を切り替える必要が生じた可能性があります。
検体検査は診断や治療方針に関わるため、検査業務を途切れさせない引き継ぎが重要です。
具体的な取引医療機関数や検査業務の移管先については、詳しい内容が発表されていません。
従業員への影響
臨床検査事業では、検査に関する専門知識を持つ人材のほか、検体回収、事務、営業など複数の職種が関わります。
飲食事業でも、調理、接客、店舗管理、食材加工などを担当する従業員が働いていました。
2社の事業停止により、従業員の雇用継続が難しくなったとみられますが、従業員数や未払い賃金の有無は公表されていません。
未払い賃金が発生している場合は、一定の条件により未払賃金立替払制度を利用できる可能性があります。
取引先への影響
エフエムエルサービスの取引先には医療機関、検査試薬会社、医療機器会社、物流事業者などが含まれていた可能性があります。
くれたけの取引先には、食肉、鮮魚、野菜、米、酒類などを納入する地域事業者が含まれると考えられます。
未払い代金がある取引先は、破産手続きで債権を届け出る必要があります。
ただし、会社に残された資産が少ない場合、一般債権者への配当が行われないこともあります。
店舗利用者への影響
くれたけが運営していた店舗では、予約客や前払い金を支払った利用者への影響が考えられます。
呉竹鮨松江本店は運営会社の事業停止に伴い閉業しています。
予約金、商品券、前払い代金などがある場合は、領収書や振込記録などを保管し、破産管財人からの案内を確認することが重要です。
経営上の一般的な見方
特需で得た利益を不振事業への資金支援に充て続けると、特需終了後に本業と関連会社の双方で資金不足が起きる可能性があります。グループ経営では、各社の採算と返済能力を分けて評価し、支援を停止する基準を事前に決めておくことが重要です。
ネット上で注目されやすい点
・医療に関わる臨床検査会社が破産したこと
・PCR検査特需終了後に売上が減少した経緯
・関連会社への貸付金が増加した問題
・複数の飲食店が赤字となった背景
・負債総額が2社合計約13億1000万円に達したこと
・医療機関、従業員、飲食店利用者への影響
今後の破産手続きはどう進むのか
破産手続き開始決定後は、破産管財人が2社の資産と負債を調査し、換価できる財産を処分します。その後、法律で定められた順位に従って債権者への配当可能性が検討されます。
資産と債務の調査
調査対象には、預金、不動産、検査設備、店舗設備、車両、在庫、売掛金、関連会社への貸付金などが含まれる可能性があります。
特に、エフエムエルサービスから関連会社への貸付金がどの程度回収可能なのかは、債権者への配当に関わる重要な点です。
具体的な資産額、債権者数、回収見込みについては、現時点では明らかになっていません。
事業譲渡の可能性
臨床検査設備、取引関係、飲食店舗、屋号などに一定の事業価値がある場合、第三者へ譲渡される可能性があります。
ただし、2社の事業や店舗を引き継ぐスポンサーが現れているとの発表はありません。
破産手続きでは会社再建ではなく資産処分が原則となるため、事業がそのまま再開されるとは限りません。
債権者への通知
今後、債権届出期間や債権者集会などの日程が決まり、関係者へ通知されます。
取引先や前払いをした利用者は、請求書、契約書、納品書、領収書、振込記録などを保管しておく必要があります。
FAQ
Q1:エフエムエルサービスはどのような会社でしたか?
A1:1995年7月に設立され、医療機関から患者の血液や尿などを預かって検体検査を行っていた臨床検査事業者です。2000年には薬局を開設するなど事業を拡大していました。
Q2:いつ破産手続きが始まりましたか?
A2:エフエムエルサービスとくれたけは、2026年7月29日に事業を停止して自己破産を申請し、7月30日に鳥取地方裁判所から破産手続き開始決定を受けました。
Q3:負債総額はいくらですか?
A3:エフエムエルサービスが約10億6000万円、くれたけが約2億5000万円で、2社合計は約13億1000万円です。
Q4:エフエムエルサービスの主な倒産原因は何ですか?
A4:PCR検査需要の減少、通常検査件数の減少、事業規模の縮小、業績不振の関連会社への貸付金増加などが重なり、債務超過の状態が続いたことが主な要因とされています。
Q5:くれたけの倒産原因は何ですか?
A5:店舗の稼働率低下、慢性的な赤字、食材費上昇に対する価格転嫁の遅れがありました。店舗閉鎖による改善を進めていましたが、エフエムエルサービスの破綻に連鎖する形で事業継続を断念しました。
倒産回避の可能性はあったのか
今回の破産は、PCR検査特需の終了、本業の検査件数減少、関連会社への貸付金増加、飲食店舗の慢性的な赤字など、複数の問題が重なった結果です。
ただし、売上減少や関連会社の赤字が明確になった段階で対応していれば、資金繰り悪化を抑え、事業継続の選択肢を増やせた可能性があります。
報道された情報の範囲から、両社が取り得た可能性のある対策を整理します。
・PCR検査特需の終了を前提とした縮小計画を早期に作成する
・関連会社への貸付額と支援期間に明確な上限を設ける
・飲食店ごとの損益と現金収支を月単位で確認する
・食材費上昇に応じて商品別に価格とメニューを見直す
・不採算店舗や事業の譲渡を手元資金が残る段階で進める
・金融機関や事業再生支援機関へ早期に相談する
特需終了後の縮小計画を準備する
エフエムエルサービスにとって最優先だったと考えられるのは、PCR検査需要が通常水準へ戻ることを前提にした事業計画です。
特需期の検査件数を通常需要として扱わず、需要が半減した場合や急減した場合の売上予測を作成する必要がありました。
需要のピークアウトが見えた段階で、人員配置、設備稼働、外部委託、集配体制などを段階的に調整できていれば、固定費負担を抑えられた可能性があります。
また、PCR検査で得た資金の一部を運転資金として確保することで、通常検査事業の立て直しに使える時間を延ばせた可能性もあります。
関連会社への貸付金に上限を設ける
関連会社への貸付金増加は、エフエムエルサービスの財務悪化に影響した重要な要因です。
関連会社を支援する場合でも、貸付総額、返済期限、追加支援を行う条件、支援を終了する基準を明確にする必要があります。
貸付先の返済能力が低下している場合は、追加融資を続けるのではなく、事業縮小、スポンサー探索、店舗譲渡などへ切り替える判断も必要です。
早い段階で資金支援を制限できていれば、臨床検査事業を継続するための現金を社内に残せた可能性があります。
店舗別採算を基に閉鎖時期を判断する
くれたけでは、2024年11月頃から店舗閉鎖を進めていました。
しかし、慢性的な赤字が続いていたことから、店舗別の売上高だけでなく、原価、人件費、家賃、光熱費を含めた営業利益を早期に確認する必要がありました。
一定期間赤字が続いた店舗について、閉鎖や譲渡の基準をあらかじめ決めていれば、資金流出を早い段階で止められた可能性があります。
来店客数の減少が一時的なのか構造的なのかを見極め、回復が難しい店舗へ追加資金を投入し続けないことも重要です。
食材費上昇を商品別に価格へ反映する
飲食店では、すべての商品を一律に値上げする必要はありません。
原価率が高くなった商品、人気が高く値上げの影響が比較的小さい商品、利益率の低いセットメニューなどを分けて見直す方法があります。
値上げだけでなく、食材の仕入れ先変更、メニュー数の削減、使用量の見直し、高粗利益商品の販売強化も選択肢です。
食材価格が上がり始めた段階で商品別原価を確認し、段階的な価格改定を行っていれば、採算悪化を抑えられた可能性があります。
事業譲渡やスポンサー支援を早期に検討する
グループ全体の再建が難しくても、臨床検査事業や知名度のある飲食店舗を個別に譲渡できる場合があります。
医療機関との取引関係、検査設備、店舗の顧客基盤、屋号などに価値が残っている段階で譲渡先を探すことが重要です。
手元資金が枯渇してからでは、交渉に使える時間がなくなり、条件の良い譲渡が難しくなります。
事業停止前にスポンサー探索を進めていれば、事業や雇用の一部を残せた可能性も考えられます。
金融機関や支援機関へ早期に相談する
債務超過が続き、関連会社への貸付金が増加している段階では、金融機関や外部支援機関への相談が重要です。
中小企業活性化協議会などへ早期に相談すれば、返済条件の変更、債権者調整、事業譲渡、スポンサー探索、事業再生計画の策定を検討できる場合があります。
週単位の資金繰り表を作り、いつ資金が不足するのかを把握できていれば、破産以外の選択肢を検討する時間を確保できた可能性があります。
倒産回避策の優先順位
今回のように本業の需要減少と関連会社の赤字が同時に進んでいる場合、新しい売上を作る前に、グループから流出する現金を止めることが優先されます。
両社で必要だったと考えられる対策を、緊急度に応じて整理します。
| 優先度 | 必要だったと考えられる対策 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 最優先 | 2社の13週間資金繰り表を作成 | 支払い不能となる時期を早期に把握する |
| 最優先 | 関連会社への追加貸付を停止または制限 | 臨床検査事業からの資金流出を抑える |
| 高 | 店舗別・事業別の採算を確認 | 赤字を生み続ける事業を特定する |
| 高 | 不採算店舗の閉鎖や譲渡を前倒し | 家賃、人件費、光熱費の負担を減らす |
| 高 | 金融機関や支援機関との再建協議 | 返済条件変更やスポンサー支援を検討する |
| 中 | 食材原価に応じた価格とメニューの見直し | 飲食店舗の利益率を改善する |
| 中 | 通常検査事業の顧客基盤を再構築 | 特需に依存しない収益を確保する |
| 中長期 | グループ会社への投融資基準を明確化 | 経営危機の連鎖を防ぐ |
もちろん、これらの対策を講じていれば、必ず破産を回避できたと断定することはできません。
両社内部の資金繰り、借入条件、貸付金の契約内容、店舗別損益などは、すべてが公表されているわけではありません。
ここで示した内容は、報道された事実から考えられる経営上の選択肢です。
それでも、PCR検査需要が落ち始めた段階で固定費を調整し、関連会社への資金支援を制限していれば、資金繰り悪化を抑えられた可能性があります。
くれたけについても、店舗別の撤退基準や価格改定を早期に実行できていれば、事業継続や一部店舗の譲渡に向けた選択肢を増やせた可能性があります。
まとめと今後の展望
鳥取市のエフエムエルサービスと関連会社のくれたけは、2026年7月29日に事業を停止して自己破産を申請し、翌30日に鳥取地方裁判所から破産手続き開始決定を受けました。
負債総額はエフエムエルサービスが約10億6000万円、くれたけが約2億5000万円で、2社合計約13億1000万円となっています。
エフエムエルサービスでは、PCR検査需要の沈静化と通常検査件数の減少に加え、業績不振の関連会社への貸付金が増加しました。債務超過の状態が続き、事業継続を断念しています。
くれたけでは、店舗の稼働率低下、慢性的な赤字、食材費上昇に対する価格転嫁の遅れが経営を圧迫しました。2024年11月頃から店舗閉鎖を進めましたが、グループの経営破綻を止めるまでには至りませんでした。
今回の事例から得られる教訓
・特需による売上を恒常的な需要と判断しない
・特需終了後の縮小計画を事前に準備する
・関連会社への貸付金と支援期間に上限を設ける
・店舗や事業ごとの採算を個別に確認する
・原材料価格が上昇した段階で価格と商品構成を見直す
・手元資金が残るうちに事業譲渡や再生支援を検討する
今後は、破産管財人による2社の資産と債務の調査が進みます。
医療機関との検査契約、検査設備、飲食店舗、関連会社への貸付金などがどのように処理されるかが焦点です。
従業員、取引先、店舗利用者などの関係者は、破産管財人や裁判所からの正式な案内を確認する必要があります。
社会への警鐘
医療に欠かせない事業であっても、需要の変化や資金管理によって経営が不安定になることがあります。
また、一つの会社が好調でも、その資金を関連会社の赤字補填に使い続ければ、グループ全体が経営危機に陥る可能性があります。
売上高や事業規模だけでなく、手元資金、事業別採算、貸付金の回収可能性を継続的に確認することが、持続的な経営には欠かせないといえるでしょう。
最後に
地域医療を裏側から支えてきた検査事業と、地域の食事の場を担ってきた飲食店が、同時に事業を終える影響は小さくありません。
数字の背後には、検査を依頼してきた医療機関、店舗を利用してきた人々、働いてきた従業員、取引を続けてきた地域事業者とのつながりがあります。
今回の破産は、特需後の経営判断とグループ内の資金管理がいかに難しいかを映し出しています。あなたは、この事例から企業が早期に見直すべき課題をどのように感じるでしょうか。





